実話を元にした映画シリーズの1作

完全なる飼育シリーズ、第7作目を担当

映画とは時々狂気めいた実話を題材にしたものがある。この作品シリーズもそうだが、意外というか凄いというか、何と実際にあった事件を元にして作られた映画シリーズで、これまでに何と8作も作られているのだ。初期作が1999年から始まり、最新作は2013年までに公開されている点を見ると、何気に人気のある作品なのかもしれません。そんなシリーズの一作を深作健太さんも監督として製作している。

その作品とは『完全なる飼育 メイド、for you』というものだ。タイトルからして危険な香りがあるでしょう、そして一文字も間違っておらず、オマケに予想されるだろう展開もそのまんまとなっています。

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実際にあった事件を題材として

この映画シリーズは実話を題材にしていると話しましたが、実際に今からおよそ50年ほど前にあった『女子高生籠の鳥事件』という事件だ。タイトルだけ見ると80年代後半に起こったコンクリート詰め殺人事件のような内容なのかと戦慄が走る人もいるかもしれませんが、この事件は実に奇妙な顛末となっている。というのも、最終的に女子高生は無事に救出され、さらに加害者であり拉致した誘拐犯である男性は逮捕されたものの、2人の関係は至って良好だったという奇っ怪な事件だからだ。かいつまんで説明するとこんな感じだ。

事件概要

被害者であるA子さんは高校3年生で、来年春には就職先も決まって後は残り少ない高校生活を謳歌するだけでした。そんなA子さんが部活後の帰宅途中、突如として男性に拉致されてしまった。男は40歳の男性で、当初A子さんを強姦するつもりで自宅へと連れ込み行動を起こしたが、その日は未遂で終わってしまう。

翌日、帰ってこない娘を心配して両親が警察へと捜索願を届け出たことで明るみとなったが、A子さんは品行方正かつ成績優秀、さらに就職も決まって友人関係も問題ない生徒だったため、どうしていなくなったのか、警察にも皆目検討が尽きませんでした。結論として誘拐されたと考えるほうが早く、事件として捜査をしていきます。一方A子さんと犯人の男は、何かするわけでもなく共に生活をしていた。

連れ込んだA子さんが生理中だったこともあって、手を出すことも出来ず、さらには帰す事も出来なかったためにそのまま一緒に過ごすしかなかったのです。そしてこの時A子さんには心情の変化が起こり、男性に対して憐憫を感じるようになっていった。日々を過ごす中で拘束されること無く、A子さんは自発的に生活することを選んで一緒の時間を過ごしたのです。

それから半年近く共に過ごすこととなり、その後A子さんの母親を呼び出して親子を再会させると、現場を見張っていた内偵員により男性は拘束・逮捕された。事件が明るみになると、2人は事前に口裏を合わせて同意あってのものだったと供述し、男性には最終的に懲役6年という実刑判決が下されたのです。奇妙な事件はこれにて終了したが、世間の誰もがこの異常な事件に戸惑いを見せたのは間違いない。

題材にした作品として

そんな事件を題材にした完全なる飼育シリーズ、その7作目に当たる『完全なる飼育メイド for you』を深作健太さんは監督として作品だ。内容は事件とは繋がりはないものの、ほぼ踏襲した内容になっており、拉致された女性が段々と犯人に対して本物の愛情を抱いていくという作品になっている。そんなことが本当にあるのか、それだけが疑問に感じる点ですが、こうした心理的現象は実際にあるという。実際の事件でも被害者である女性は『ストックホルム症候群』と呼ばれています。これは本来なら恐怖を抱いていたはずだが、犯人に優しくされると命を救われた、そう思うようになっていくというものになる。シリーズの中で被害者として連れ去られる女性たちは1人また1人とストックホルム症候群に陥って、犯人との間に確かな愛情を抱いていくというのだ。凄いことだが、あまり感心できるものではないでしょう。

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当然ですが、物凄いマイナー

完全なる飼育シリーズについては知っている人は知っているでしょうが、個人的には調べるまで一切知りませんでした。実際にあった事件を題材としているのもそうだが、事実としてそんな事件があったということも知りませんでした。こうしてみると昭和の時代は女性にとっては危険極まりない時代だったのではないか、なんて思いたくなる作品だ。

狂気の果てに見る真実の愛、といったところかもしれないが、リアルで感じるとしたらそれは愛情ではなく支配する・される関係と見るべきではないか、そう言えるのではないだろうか。

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