ケンとメリー 雨上がりの夜空に

深作健太監督、現時点での最新映画作品

映画作品は監督の意向によって成否が委ねられている、そう言ってもいいでしょう。素人目線の意見だからといって侮る事も出来ません、作品を沢山見ていれば引き込まれるものかどうか、内容が薄っぺらいがどうかの判断くらいは付けられるようにはなるものだ。批判的すぎるのもどうかと思うが、作品に対して評価する行為は意外と誰もがしたがるのしょうがないでしょう。オマケにインターネットの影響もあって、誰もが批評家になれてしまうから監督業を営んでいる人たちの肩身はかなり狭くなっているとも考えられます。

個人的にそこまで映画を視聴することはない、劇場まで足を運んで見ようと思う作品に出会うこともなければ、レンタルして見てみようといった段階にまでほとんど発展しないものだ。だからといって全く見ないわけではない、見るときは見ますし、面白いと感じる作品には純粋にこれ以上ないくらい称賛を贈りたいとも考えている。まぁそういう作品とも出会う機会すらないので、あまり滅多なことではないが。

人によって映画の好き嫌いは当然あり、どのジャンルのどういう内容で、こういった展開が理想と、鑑賞者によって理想の映画に対する求めはかなり異なります。そういう意味でここで紹介する『ケンとメリー 雨上がりの夜空に』という作品はかなり人の好みによって分かれる作品となっています。

1つ知っておいて貰いたいこと、この映画にシリアスや真面目、さらには感動といったものを求めては行けない、ということだ。では何を求めるべきか、コメディ要素以外に何もない。

映画概要

この映画が公開されたのは今からおよそ2年半前の2013年11月のことだ。ただそこまで有名な作品というわけではなかったので、当時こんな作品がロードショーしていたことすら知らなかった人も多いでしょう。先ほど話したが、コメディ以外に何かをこの作品に求めるべきではないと話したが、その理由として主演を演じている日本人俳優であり、シニカルからコミカルまで幅広く演じられている『竹中直人』さんだ。

演技は確かにうまい、うまいのだがシリアス調の演技を見た後にこの作品を見ると、本当に同一人物かと疑いたくなるくらい変貌しているのです。日本人なら竹中さんの演技が凄いことをご存知の人も多いかと思いますが、そういう意味では日本の俳優業界において無くてはならない存在と言っても良いはずだ。

ではそんな竹中さんが主演を務めているこちらの作品、内容はどうなっているのかを簡単に話していこう。

あらすじ

日本で暮らす、しがない中年の商社マンがとある日に娘から連絡をもらう。彼の一人娘はマレーシアで日本語教師として勤務しているのだが、その勤務している国で知り合った男と結婚すると言い出したのだ。唐突すぎる発表に認めたくない父親は頑としてダメだと告げる。そして阻止するためにマレーシアへ行くとまで言ったが、娘からは来るなと言われてしまいます。

ですがそんな事お構い無く、愛しい娘を野獣の手から守ろうとしますが、その道中に飛行機事故という生死をかけたトラブルに巻き込まれてしまった。なんとか無事にマレーシアに到着するも、娘が現在住んでいる場所から遠く離れた僻地へと緊急着陸するのです。そこで財布をすられ、途方に暮れていたところをこれまたいきなり交通事故によって怪我を負ってしまったのだ。

到着早々、災難な展開に見舞われる男性に対して車を運転していたモウリスと名乗る男性は責任を感じてか、男性を聞かされた娘の元へと案内すると言い出したのです。元々赴くために必要な道具も足もなかったので、男性はお言葉に甘える形で同行を決意した。

一路目的地は首都クアラルンプールへ向かっていくが、その旅路においても語り尽くせないトラブルに巻き込まれ、時に命をかけた重大な事件に巻き込まれてしまいます。そしてなんとか娘の結婚式前に辿りつけたが、父親が来てしかも行方知れずになっていると知らされていた娘が見たのは、上下下着姿の情けない父親だった。心配をかけておいてあまつさえ醜態を晒した父に、娘はウェディングドレス姿のままドロップキックをかまして、心配した分を精算する。

そんな父と道中ともにしていたモウリス、それは他でもない娘の結婚相手だったのだ。長い旅路で否応なく人柄を知ることが出来たので、反対していた結婚にも賛成し、娘は愛する人と一つになり、2人の新生活を見守っていこうと父は決意するのです。

ギャグとしか言えない

とにかく最初からブッチギリ過ぎている、なにせ展開の仕方があまりに暴力的なほど激しく移り変わっていくからだ。簡単にまとめてみても

#父、飛行機事故に見舞われる

#父、スリに合って人身事故に見舞われる

#父、地元の若者に絡まれるも、持ち前のサラリーマン魂で交流を果たす

#父、人助けをするも逮捕される

#父、娘の元へ急ぐも警官に銃をつきつけられる

#父、辿り着くも下着姿で登場したため、娘からドロップキックをお見舞いされる

といった感じだからだ。これを笑わずして何と言えるか、竹中さんの演技がまた絶妙すぎるくらいに上手いので、終始笑いを堪えるのに必死だったことを思い出す。

最終的には娘の結婚を認めるところで落着しますが、そこまでに至る展開そのものがハチャメチャすぎるせいもあってか、感動ラストを持ち込まれてもいまいち感情移入がしにくいと感じたものだ。娘の結婚相手だったモウリスも偶然であった義理の父になる人との旅で、人柄を知ることになったものの終始振り回されて挙句、逮捕までされてしまったのだから洒落になっていません。元鞘に落ち着いて解決はしたものの、それで本当に良いのかと突っ込みたくなる。

だからこそこの作品はコメディとして展開していると思って見たほうが良い、そうでないと作品の趣旨を見失いそうだからだ。

深作健太さんの作品としては

この作品はあの深作健太さんの作品となっている。現在のところ映画はここ数年監督業を行っていないものの、舞台劇などの演出などを手がけるなどして現在でも精力的に活動しています。そういった作品にも監督らしさがにじみ出ているところを考えると、このケンとメリー 雨上がりの夜空にという作品もある種深作監督らしさがあるものなのかもしれません。

ただ竹中直人さんという強烈すぎる個性の持ち主のせいで、実はこの方が裏で映画構成もしているのではないか、などと勘ぐりたくなったほど印象が強すぎる。監督が俳優を潰すというのは見たことある人もいるかもしれまえんが、俳優のせいで製作陣の存在が薄くなってしまったというのは結構珍しいでしょう。

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